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2010年2月 1日 (月)

FREE

ウィキノミクスフラット化する世界でも語られた、Webによってかわりゆく世界の経済状況について、「FREE」という視点で語った本。
 20世紀におけるfreeとは、別のものを買わせることで回収される、見かけ上のfreeであることが多かったが(ジレットの、カミソリの本体は安く売り、替え刃で儲けるビジネスモデル。これはプリンタ業界が今でもやってますね)、現代は「本当にfree」なビジネスが勃興しつつあると本書は主張する。
 その違いは、「商品」のコピーにかかる費用(限界費用)が、20世紀までは物理的制約から0にはなり得なかったが(atomの経済)、情報が商品として成立する21世紀では、その限界費用はほぼ0になる(bitの経済)点にあるという。
 なるほどと思ったのは、コンピュータの世界は、ひたすらコストが低下していく世界(ムーアの法則)で、そこではかつて貴重だった資源が、みるみるありふれたものになっていく。
 貴重だと思っていたものが潤沢に溢れるほどあるものになることにいち早く気づいた人が、革新的なアイデアを見いだす。かつて貴重で、みんなで順番に純粋な計算にのみ使用していたCPU資源が有り余るようになると、ヒューマンインタフェースにCPU資源を割くようになった(GUIの誕生)。かつて数十メガバイトで何万円もしたハードディスクドライブが1枚でギガのオーダーになると、自分の所有するすべての音楽を持ち歩くようになった(iPod)。電話代におびえながら細々とつなげていた回線が、100Mbpsで常時接続するようになると、アプリをWebの向こう側で動かすようになった(クラウド)。
 今後、今貴重だと思われているものが潤沢でありふれたものになったとき、どんなことがおこるのかを考えることが、未来を知るヒントの一つだと思った。
 で、かかると思われていた限界費用が0になったとき(=コピーがありふれたとき)、現れた考え方が「プレミアム」ならぬ「フリーミアム」だとのこと。従来の無料体験版は、有料版を買ってもらうための、あくまでおまけであり、ちゃんと使うには不十分なものであった。しかし、「フリーミアム」の考え方では、「フリーミアム」版はそれ自体で十分に役に立つものになっている。そして、ごく一部の人でいいから有料版を買って使ってもらう。つまり「フリーミアム」版はそのソフト自体のシェアを広げる広告の役を果たすことになる。これができるのは限界費用が0だからで、はっきり言って、いくらコピーされようとも全然コストはかからない。むしろただで広告されるのでどんどんコピーしてもらいたい。。。というビジネスモデルになっている。もちろん、フリーミアム版で全てのユーザーが完全に満足してしまうと、有料版を買う人がいなくなってしまうので、どんなサービスを有料として付加するかがフリーミアムビジネスの考えどころということになる。
 とにかく、Webでビジネスをしようとしている人は現代の教養、常識として知っておいて良いと思う。

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